「せんたん」の原稿

このたび「平成13年度情報処理学会・山下記念研究賞」を受賞するという栄誉を授かり,
たいへんうれしく, 光栄に存じます.
この賞は昭和62年に創設され, 情報処理学会の研究会およびシンポジウム発表論文の
中から優秀な論文を選出し, その発表者に授与されます.

受賞の対象となったのは, 自然言語処理研究会(NL142)での発表
「チャンキングの段階適用における係り受け解析」です. 
言葉は, 表面的には文字や音素の並びですが, 内部には「構造」があります. 
例えば,「クロールで泳いでいる彼を見た」と「望遠鏡で泳いでいる彼を見た」
という文は, 字面は似ていますが, その構造は違います. 
前者は, 「クロールで - 泳いでる」という構造に対し, 
後者は「望遠鏡で - 見た」という構造を持っています. 
このような単語間の関係を係り受け関係と呼び, この関係を同定する処理を
係り受け解析と呼びます. 我々は係り受け解析を無意識に行っており,
一見簡単そうですが, コンピュータにはまだまだ難しい処理です. 

本発表では, 係り受け解析に対し, 連続する単語をまとめあげる処理を
段階的に適用する手法を提案しました. また, ある係り関係は他とは
独立としていた従来法の欠点を克服できるモデルを提案しました.
その結果, 解析精度の向上 (約 89%), 学習時間ならびに解析時間の短縮に成功しました.
本手法に基づく係り受け解析器はフリーソフトウェアとして公開しており(*脚注1), 
機械翻訳や自動要約,言い換えの研究に使用されています.

最後になりましたが, 指導教官である松本裕治教授, ならびに
研究, 開発段階において多くのコメントをいただいた
自然言語処理学講座の皆さまに感謝いたします. ありがとうございました.

脚注1
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